「自分や自分の家族が病気になったときに受けたい医療を」
平成22年(2010年)12月1日より産業医科大学第2外科の第四代教授に就任いたしました。現在当科は、主に呼吸器(肺、胸膜や縦隔等)と乳腺を専門とする外科ですが、私は1986年(昭和61年)京都大学を卒業後一貫して呼吸器外科の専門医として経験を積んできました。特に、京都大学では遺伝子解析を含む最新技術を駆使した肺がんの治療を、2005年から5年間勤務しました兵庫医科大学では多数の胸膜中皮腫の患者さんの診断と治療、にあたってきました。関西生まれの関西育ちで九州は初めての勤務地ですが、北九州地区の医療に貢献すべく全力を尽くす覚悟ですのでよろしくお願いします。
さて、当科の基本方針は“自分や自分の家族が病気になったときに受けたい医療を”、です。現在の医療は、臨床試験で科学的に証明された最良の医学的事実(エビデンス)、に基づいて行われることが原則です(エビデンスに基づいた医療:Evidence-based medicine/EBM)。もちろんエビデンスは大事ですが、これと並んであるいはもっと大事なことは患者さんや家族の方の“思い”だと私たちは考えています。つまり、患者さんや家族の希望を最大限に実現できるように最新の医療を駆使して治療にあたる、というのが当科の基本方針です。
具体的にいいますと、我々が扱っている病気は呼吸器と乳腺の広い範囲にわたる病気です。この中には、悪性腫瘍(いわゆる“がん”で、肺がん・胸膜中皮腫・悪性縦隔腫瘍や乳がん等を含みます)の他にも、炎症性疾患(膿胸等)・外傷(肋骨骨折)や気胸等、が含まれます。特に、我が国のがん死亡原因の第一位である肺がん、アスベスト暴露で最近注目されつつある胸膜中皮腫、女性のがん罹患率の第一位である乳がん、には特に力を入れており、“早期”がんの患者さんにはより負担の少ない治療で治癒を、“進行”がんの患者さんには患者さん個々に一番適した治療でより“良くかつ長く”生きることを、目指しています。これらの病気の治療のことで悩んでおられる患者さんや家族の方、どうぞ気軽に相談にお越しください。 |