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肺がんの診断と治療について

肺がんは、日本人のがん死亡原因の一位で、早期発見と早期治療が大事です。
肺がんの早期には症状が無いことが多く、また血液検査(腫瘍マーカー)やレントゲン写真でも異常が見つかりにくいです。早期発見には、“たん”の細胞検査・胸部コンピューター断層撮影(CT)や“ペット”(FDG-PET)検査、などが役に立ちます。
早期の肺がんは、手術を中心とした治療によって治癒をめざします。手術も内視鏡(胸腔鏡)の使用により患者さんの負担も軽くなっていますし、手術に耐えられない患者さんを中心に放射線治療によっても良い成績が報告されています。
進行がんは、抗がん剤治療によってより長くより快適な生活が得られることを目指しますが、放射線治療との組み合わせによって治癒することもあります。
遺伝子検査などの発達によって、ひとりひとりの患者さんに最適な治療(オーダーメード治療)がすこしづつ選べるようになってきています。
がんの治療には、よいこと(効果)もわるいこと(副作用、時には治療による死亡)もあります。担当の先生のお話がわかりにくい場合には、他の医師の意見(セカンドオピニオン)もきいて、患者さんと家族が十分に納得したうえで治療を受けることが大事です。
進行が早い肺がん  
今から肺がんの診断と治療についてお話をしたいと思います。ご存知のように肺がんは非常に進行の早いがんの一つで、日本人のがん死亡原因の第一位です(図1)。これは肺がんの患者さんの数が多いことが一つの理由ですが、もうひとつの大きな理由は肺がんが非常に治りにくいがんであることです。つまり主ながんの中で、肺がんの5年生存率は20%程度、と治療成績が非常に悪いのが特徴です(図2)。つまり、肺がんにかかった患者さん5人のうち4人は、見つかってから5年以内に亡くなってしまわれるのです。これは、乳がんの患者さんの3分の2以上、胃がんや大腸がんの患者さんでは半数以上の方が、発見後5年後も元気でおられる、のと対照的です。

これからお話するように、肺がんの治療成績が良くない大きな理由は、1)進行が速く早期発見がむつかしい、2) 抗がん剤があまり効かない、ということです。実際に肺がん患者さんの多くは“進行”した状態で見つかりますし、特に全身に転移がある患者さんが実に半数以上なのです(図3)。また、このような“進行”がんの患者さんには、抗がん剤を使いますが、副作用が強くてあまり効かなかったのです。ところが最近は、コンピューター断層撮影(CT)や“ペット(PET)”検査などの診断法の進歩によって、手術で治る“早期”の患者さんも増えつつありますし、手術も昔と違って体への負担の少ない方法に変わりつつあります。また、抗がん剤についても、今まではみんな同じ薬を使っていましたが、効果や副作用には個人差がでます。そこであらかじめがんの遺伝子等を調べることによって、個々の患者さんに適した抗がん剤を選べる、つまり“個別化治療、あるいはオーダーメード治療”、が可能になりつつあります(図4の(1)および(2))。ですから、“肺がん”(または肺がんの疑い)と言われても、決してあきらめずに専門医の意見を十分に聞いて一番合った治療法を決めてください。

産業医科大学第2外科では、手術を含めて肺がんの治療について最先端の情報を患者さんや家族と共有し、“自分や家族が肺がんになったときに受けたい治療”を提供しています。“受診してみたい、意見(セカンドオピニオン)を聞いてみたい”という方がおられましたら遠慮なく、産業医科大学にお越しください。

セカンドオピニオン: 093-691-7544
がん相談窓口: 093-603-1611 内 線: 7810
がん治療の選択  
これからお話しする中には“怖い”内容も含まれています。なぜ、このような“怖い”お話もするかというと、患者さんや家族の方にがんの治療のメリットとともに、その危険性も理解していただいて、その上で自由意志に基づいて治療を選択していただきたいからです。というのも、かけがえのない“命”というものは、他の誰のものでもなく、患者さん自身のものです。ですから、その大事な命を左右する治療は医師が一方的に決めるものではなく、患者さんや周りの家族の方の意見やさまざまな事情にあわせて、患者さんに治療法を選択する自由があるのです。

医学が発達した現在でも、がんを治すことは容易なことではなく、また手術・抗がん剤・放射線といったがんの治療には危険がつきもので、このような治療をすることによってかえって寿命を縮める結果になることもあるのです。ですから、がんの治療の選択には、がんの種類や進行度といった医学的な事柄を踏まえた上での、患者さんや家族の方の意思が非常に重要になってきます。もちろん、意思決定に必要な情報(特に次にお話しする“科学的根拠”に基づいた肺がんの治療法について)の提供や、また他の医師の意見を聞く(セカンドオピニオン)機会の提供など、治療選択のお手伝いは十分にします。また、話が難しすぎてどうしても決められないような場合には、“自分や自分の家族だったらどうするだろうか”という考えに基づいた医師側の意見もお話しますが、私たちは患者さんや家族の方の意思を最大限に尊重したいと考えています。
肺がん診療ガイドライン  
肺がんの診断と治療に関する客観的な情報と妥当性については、我が国における肺がん診療に関する系統的ガイドライン、すなわちEBM(Evidence-based Medicine)の手法による肺がん診療ガイドライン(以下、“診療ガイドライン”、金原出版社刊)、にまとめられています(初版2003年発行、2005年改訂、2010年に抗がん剤治療に関する部分のみ改訂)(表1)。さて、診療ガイドラインは肺がん診療に従事する専門化向けに書かれたガイドラインで、患者さんや家族の方には理解しづらい部分も多いかと思いますが、客観的な情報を得るには貴重な資料のひとつです。つまり従来は医師個人の経験などに基づいて治療を行ってきたわけですが、より科学的な根拠(エビデンス、evidence)に基づいた治療を目指そう、というものです。この場合の”科学的根拠“、とは臨床試験、特に”ランダム化比較試験“で証明された事実、ということです。”ランダム化比較試験“、とは、同じ病気の患者さんをAという治療を受ける人たちとBという治療を受ける人たちに”くじ引き”で“ランダム”に振り分け、AとBのどちらの治療を受けた人たちのどちらがよりよい治療結果が得られたかを検討し、AとBのどちらの治療が優れているかをけっていする、といった臨床試験です。ランダム化比較試験で従来の“標準“とされる治療に比較して、新しい治療が優れていることが科学的に示され、特に複数のランダム化比較試験で同様の結果が得られれば、新しい治療法が”新たな標準治療“として認知されるわけです。このように複数のランダム化比較試験の結果を統合的に解析する方法を、メタ解析(メタアナリシスmeta-analysis)と呼んでおり、メタ解析の結果が最も重要な”科学的根拠“とされています。
肺がん発生と喫煙の関連性  
さて本題に入りますが、肺にできる悪性腫瘍(“がん”)は大まかに、肺から発生した“原発性肺がん”と他の臓器から肺に転移してきた“転移性肺腫瘍”、に分けられます。“転移性肺腫瘍”に対しては、時に肺転移を手術で切除することもありますが、原則として腫瘍が発生した元の臓器の腫瘍の種類によって治療法が決まりますので、ここでは“原発性肺がん”にしぼってその診断と治療について述べます。はじめにもお話したとおり原発性肺がんは、現在日本をはじめとして先進主要国での“がん”死亡原因の第一位を占める、非常に予後の悪い悪性腫瘍です(図1)。その発生には喫煙が大きく関与していると言われ、喫煙している本人だけではなく家族などの周りにいる人も肺がん発生の危険が増加することが示されていますので、肺がんの発生を予防するために禁煙が非常に重要になります。また肺がんが発生した後でも、喫煙を続けていると手術や抗がん剤および放射線といった肺がんに対する治療の危険が非常に高くなりますので、肺がんと診断されたら治療を安全に行なうために是非禁煙をしてください。
早期発見・早期治療の重要性  
また、肺がんは先ほどお話したように胃がんなどの他の臓器の“がん”と比べて非常に予後の悪い腫瘍で、これは比較的早い時期から転移などを起こしてがんが全身にひろがることが大きな理由です。一般的には、肺がん患者さんの過半数は診断された時点で手術ができない状態で、手術ができない患者さんの余命は平均すると1-2年以内とされています。このため肺がんでは、とにもかくにも早期発見・早期治療、が重要です。あとでお話しするように、肺がんの診断方法はコンピューター断層撮影(CT)や“ペット“(FDG-PET)検査など最近非常に進歩してきていますが、残念ながら肺がん、特に”早期“の肺がん、はこのような最新の検査方法を使っても100%診断できるわけではありません。ですから、CT等の検査で肺がんが疑われた段階で確実な診断なしに手術、ということも決してまれではありません。このような場合には、切除したら結果的にがんではなかったというケースもありえますが、肺がんの場合には見逃しは致命傷になりえますので、疑わしい場合は手術を含めた確実な診断、が望ましいと考えられます。もちろん手術には一定の危険性が避けられませんので、”疑い“といわれた場合には十分に担当医と相談することが重要です。また、別の医師に相談してセカンドオピニオンを求めることも考慮してもよいでしょう。私たちの産業医科大学第2外科は“呼吸器外科”といい、肺がんに対する手術を中心とした治療を行なう専門医がそろっています。これから、肺がんに対する手術を中心とした次のようなお話をしたいと思います。患者さんや家族の方に理解していただけるようにできるだけ平易な言葉でお話を進めますが、正確な情報提供のために非常に専門的な言葉もたくさん出てきます。
病気や治療を十分に理解していただくために  
また、これからお話しすることは一般論ですので、個々の患者さんについては当てはまらないこともあります。あなたやあなたの家族の個々の例について“より詳しくお知りになりたい”、あるいは“相談したい”、と希望される場合には、当科(産業医科大学第2外科外来、毎週火曜日と木曜日が外来日ですが、緊急の場合はその限りにありません)の外来に資料を持参の上お越しください(担当医の紹介状が望ましいです)。患者さん自身が家族の方とともに受診されるのが望ましいですが、家族の方だけでも結構です(この場合には、“家族相談”という形となり、健康保険の適応にならず私費扱いとなります)。私たちは、できるだけ時間をとって患者さんや家族の方にお話をして、十分に病気や治療について理解していただきたいと考えています。当院外来は基本的に予約制ですので、外来に予約なしに直接お越しになると、予約患者さんの診察の合間や後回しになってご迷惑をおかけすることになりかねません。ですから、十分な時間をとるためにもできるだけかかりつけの先生などを通じて、できるだけ外来の診察予約をお願いします。
患者さんと家族の方のために  
最近の科学技術の進歩によって、一見同じように見えても“遺伝子”とよばれる非常に細かいレベルでは患者さんひとりひとりの肺がんに違いがあることがわかってきました。つまり同じ肺がんであっても、遺伝子の違いによって、薬の効き目などが大きく異なることがあります(図4,5)。従って遺伝子を調べることにより、患者さん一人ひとりにとって最も適した治療(オーダーメード治療)を見つけることができるようになりました。

私たちは、患者さんや家族の方の意思を尊重して最も適した治療を提供したい、と考えていますが、この治療は大学病院である以上遺伝子解析のような最先端の技術を駆使した世界最高水準の治療でなければならないと日々努力しています。そして我々は最終的には、患者さんや家族の方に満足して元気に退院していただけることを最大の目標として、このことに最大の喜びを感じ、そのためには時間や労力を惜しまない覚悟で誇りと生きがいを持って勤務に当たっています。ご心配や不明なことは気軽にご相談ください。
より詳しい資料は以下のPDFにてご覧ください
内容目次
1) 肺がんの分類とその診断および治療
2) 肺がんの手術とその治療成績
3) 肺がんの手術後の補助療法
4) 肺がんの手術前の補助療法
5) 進行肺がんの治療
PDFダウンロードはこちら
文責:医学部 第2外科, 更新日:2011年03月10日
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